Wired + Beat Records presents The Art of Listening Vol.1

Concept

Wired + Beat Records presents The Art of Listening Vol.1

Photography by Jason Evans

新しい「聴きかた」を求めて

「見たいと願うなら、聴け。聴くことこそヴィジョンへといたる道である」

──Bernard de Clairvaux

デジタルテクノロジーの普及以降、これまで音楽商品を規定していたジャンルやタームは、急速に意味を失いつつある。言葉から開放され、生き生きと自由を求めはじめた音楽は、言葉をいよいよ遠くに置き去りにする。いま、聴き手であるぼくらは、なにを手がかりに音楽を「つかまえる」ことができるだろう。ビョークはかつて、こんなことを語った。「音楽は、『構成』(Plot)や『構造』(Structure)から離れ、『テキスチャー』(Textures)へと向かっている」。それは、Oneohtrix Point Neverの、こんな言葉と呼応する。「音楽は、彫刻や文学により近づいていく。有用性から離れ、自律して存在するものになっていく」。ふたつの言葉が、このコンピレーションの起点となっている。過去の分類上、「ジャズ」「現代音楽」「ミニマル」「エレクトロニカ」として扱われてきた音楽を、テキスチャー、つまり音像や響きの親近性において収集し、シークエンスしたのが本盤だ。ここでの主題は、音楽そのものではなく、あくまでも「聴きかた」にある。ぼくらの「耳」はどこまで自由か。「The Art of Listening=聴く技法」というタイトルには、そんな問いが含まれている。

『WIRED』日本版編集長 若林恵